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ユースアクション新聞2022.07.05

以前からの教育活動をSDGsをより意識したものに パンダのみならず、他の生物にも興味関心を!

準グランプリ受賞について

和歌山県立田辺中学校との共同学習は2006年から毎年行っており、「動物を観察して考える」といった内容で毎年行っていましたが、15回目になる2020年は、学習指導要領に追加されたSDGsをテーマに社会課題にも目を向けてもらう内容にしました。3日間にわたる共同学習の1日目は事前学習としてSDGs自体を学び、柔軟に提案する練習を行い、2日目は実際にアドベンチャーワールドへ足を運び、動物とその周りの社会課題についてスタッフと共に学びます。3日目は動物とその周りの環境についてさらに調べて生徒自身ができることを提案し発表するという内容でした。発表会では、あるグループの提案の1つに「紛争地帯で暮らす動物たちが危機にさらされていて、そのためにできることは自ら正しいと思うリーダーを選ぶこと、つまり選挙に行くことだ」といった内容のものがあり、生徒の皆さんの問題解決意識の高さに驚きました。同席されていた教頭先生から、生徒に向けてエールをいただいたことや、先生たちの情熱的なご指導も今回の共同学習がよいものになった理由のひとつだと思います。
教育活動を通して学生に一番伝えたい事

来園された皆さんには、これまでに出会ったことがないような発見や疑問に対して、面白いからもっと追求していこうという主体的な気持ちを持っていただきたいと考えています。そのために、アドベンチャーワールドに訪れた方に私たちは疑問形を用いて、考えていただける機会をつくれるように心がけています。「かわいい」「かっこいい」という多くの方が動物を見て抱かれる感情を「あの行動をするのは何で?」などの疑問に繋げ、探求してみてください。動物たちとの出会いが、学生の皆さんの視野を広げたり、多様性を受け入れたりすることに繋がれば嬉しく思います。
資源循環への取り組みについて

動物たちのエサの残り、糞などをパーク内の堆肥場で処理し、年間120tの堆肥を製造したり、レストランなどの排水を浄水場にて処理し、パーク内の掃除用に再利用しています。他にも、ジャイアントパンダが食べなかった竹のアップサイクルに取り竹を美味しそうに食べるジャイアントパンダ組んでいます。パンダは餌として与えられた竹を3分の1くらいしか食べないことを知っていますか?残ってしまった竹を使って灯篭(竹あかり)やタンブラー、アクセサリーなどに使用して生まれ変わっています。今後も商品開発を含め、循環型パークを目指していきます。

生物多様性の実現に向けて

野生の個体数が少なくなってしまった動物もアドベンチャーワールドや他の動物園では飼育しています。動物たちが本来暮らす野生環境下で守ることと、動物園という飼育環境下で守ること、どちらも重要です。飼育しないと分からない生態もあり、分かったことを野生環境下での保護に繋げることができます。絶滅の危機に直面している動物を知ってもらうことも動物園の大切な役割のひとつです。また、アドベンチャーワールドだけで動物の交配は長期的には多様性が保てないので、日本、世界の動物園と連携しています。100年後に遺伝的な多様性を保つことも大切ですので、海外の動物園などとも協力しています。地球には色々な生き物がいて、その中で私達の生活が成り立っています。動物たちはそれぞれ魅力がたくさんありますので、いろんな方にその魅力を知っていただけたらと思います。
学生に対するメッセージ

動物達は私達人間と、昔から繋がりがあります。人間の生活は大きく変わり、とても便利になりました。が、そこには動物や自然との様々な関わりがあったことと思います。現在は多様なコンテンツがあり、動物のことや社会課題のことも、気になればインターネットなどですぐに調べることもできると思うので、ご自身の身近なことや遠く離れた世界のことなど、いろんなことに興味を持ち、どんどん探求していってほしいです。そして、思ったことや感じたことを周りの人に共有してみて下さい。皆さんの探求心が明るい未来を築いてくださることを願っています。